息子の最後の言葉
その日は日曜日だった。
週に一度、息子の仕事が休みの曜日。
いつもクタクタで、なにも用事がなければ
ずーっと寝ている日なのだが。
お昼の12時に別れた旦那の親からの電話。
父親とは十数年会っていないけど
祖父と祖母には何度か会っている。
「・・くんはいる?12時に来るって言うから
お昼ごはん食べないで待っているんだけど」
息子に電話を変わる。
本当は約束したのは2時だったようで
祖母が12時と2時を聞き間違いをしてたらしい。
寝てたところを起こされて不機嫌そうな息子。
13時半に息子が
「じゃ~行ってくる」
玄関先に目を向けて「いってらしゃい」と声を掛けた。
後ろ姿のまま、息子は家を出た。
いつものお気に入りのキャップかぶって。
それが息子の最後の生きている時の姿。
いまでもその時の事を思い出す。
いとおしい息子。
もう、いない息子。
「じゃ〜行ってくる」の言葉を最後に
行ったままになってしまった。
もう、1%の可能性もない逢いたいという望み。
その後、息子は祖母と祖父の所へは行かなかった。
あの時、何でもっと声を掛けなかったのだろう。
違う言葉を掛けていればと・・・。
何度も思う。
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