もう一度、ここで会いたい

2016年9月に息子が何も言わずに逝ってしまった。
自死遺族になった母の日々を綴ります。

息子の最後の言葉

その日は日曜日だった。
週に一度、息子の仕事が休みの曜日。


いつもクタクタで、なにも用事がなければ
ずーっと寝ている日なのだが。


お昼の12時に別れた旦那の親からの電話。


父親とは十数年会っていないけど
祖父と祖母には何度か会っている。


「・・くんはいる?12時に来るって言うから
お昼ごはん食べないで待っているんだけど」


息子に電話を変わる。


本当は約束したのは2時だったようで
祖母が12時と2時を聞き間違いをしてたらしい。
寝てたところを起こされて不機嫌そうな息子。


13時半に息子が


「じゃ~行ってくる」


玄関先に目を向けて「いってらしゃい」と声を掛けた。
後ろ姿のまま、息子は家を出た。
いつものお気に入りのキャップかぶって。


それが息子の最後の生きている時の姿。
いまでもその時の事を思い出す。



いとおしい息子。
もう、いない息子。



「じゃ〜行ってくる」の言葉を最後に
行ったままになってしまった。


もう、1%の可能性もない逢いたいという望み。



その後、息子は祖母と祖父の所へは行かなかった。



あの時、何でもっと声を掛けなかったのだろう。
違う言葉を掛けていればと・・・。
何度も思う。